バーや居酒屋のメニューなどでよく見かける「ジン」
ジントニックやホワイトレディなどのカクテルのベースでよく使われる代表的なお酒の一つですが一体どんなお酒なのでしょうか。
今回はジンの簡単な定義など基本的なところをお話します。
ジンの定義
ジンを簡単に説明すると、
主に穀物をベースにしたスピリッツ(蒸留酒)
と言えます。
定義としては
- アルコール度数95%以上のスピリッツにジュニパーベリーで香味付けされている
- アルコール度数37.5%以上
以上が最も簡単なジンの定義です。
3つに分けられるジンの定義
EUが掲げたより具体的なジンの定義によるとジンは3つに分類されるようです。
Distilled Gin(蒸留ジン)
London Gin(ロンドンジン)
Gin(ジン)
- スピリッツに天然・人工の香料問わず香りづけされているジンのこと。
着色も可能。
こちらは最も広いジンの定義です。
香りづけの方法としては完成したスピリッツに直接ボタニカルなどを漬け込み香りを抽出します。
直接ボタニカル(コンパウンドジン)を漬け込むのでより素直な風味をお楽しみいただけますが、雑味が出やすくなってしまう恐れもあります。
おすすめのコンパウンドジン
イタリアの甘みのある琥珀色のジン。
ラベンダーやカモミールなどを使用した華やかで上品なジンです。
Distilled Gin(蒸留ジン)
蒸留ジンは2つの工程に分けられます。
- まず天然の香料と共にグレーンスピリッツを再蒸留します。
その後、天然または人工の香料でさらに香り付けをします。
蒸留ジンも着色は可能です。
こちらの特徴はその名の通りグレーンスピリッツをもう天然由来のボタニカルと共に一度蒸留して香りをつけているところです。
その後、さらに香りや風味などを付け足すのが一般的とされているようです。
前述のジンと比べ軽やかな飲み口なものが多いですが、際立たせたい香りを添加しているためキャラクターの強いジンが多い印象です。
おすすめのDistilled Gin(蒸留ジン)
こちらはスティープング製法とヴェイパーインフュージョンの二つの蒸留方法を組み合わせ、最後にバラのエッセンスを添加しているふんわり香るバラの芳香が特徴のジンです。
London Gin(ロンドンジン)
-
1,伝統的な蒸留器を使い、再蒸留した農作物由来のアルコールに天然の素材のみで香りづけをする。
2,使用するアルコールは通常の基準のものよりハイクオリティなものでなければならない。メタノールの含有量は100リットル中5グラムを超えてはいけない。
3,風味づけは天然のもののみを使用し、蒸留の過程での可能とする。
4,人工の香料などの使用は認められない。
5,蒸留後のアルコール度数は最低でも70%でなければいけない。
6,蒸留後の風味づけは一切できないものとする。
7,ごく少量の糖分(1リットルあたり0.1グラム)であれば蒸留後でも添加可能。その他、水分以外は添加してはいけない。
8,ロンドンドライジンはいかなる着色もしてはいけない。
ロンドンジンは最も細かく定義されたジンです。
特徴としては香味付けに人工のボタニカルを使用していない。
そしてジュニパーベリーの風味がしっかりしているところです。
名前にロンドンとありますが、ロンドンで製造されている必要はなく上記の条件を満たしていれば産地は問わずロンドンジンとなります。
ジンはそれまで定義が曖昧だった部分がありました。
しかしこの定義により、それまでロンドンジンとして販売していたことで優位に立っていたジンも蒸留ジンと定義されてしまうものもあるようです。
おすすめのロンドンドライ
コンビニなどでも手に入るお手軽かつ非常に美味しいジンです。
安いので低クオリティと思われることもありますが、値段に関係なく非常に美味しいジンです。
ジュニパーベリーって?

ジンを作るうえで欠かせないボタニカルであるジュニパーベリー
ここではジュニパーベリーを簡単にご紹介いたします。
ジュニパーベリーとは「セイヨウネズ」という木になる実のことです。
ジュニパーベリーを使っているかいないかでジンと定義されるかされないかが分かれることになるといっても決して過言ではないため、ジュニパーベリーはジンを語るうえで欠かせない存在と言えます。
ベリーといいますが、ジュニパーベリーはブルーベリーのような薄皮で果肉や果汁が多くフレッシュな多肉果ではなく、針葉樹が作る球果です。
ジンの特徴的な香りの源です。
ジンタイプ
ジンタイプ | 主な特徴 |
---|---|
ドライジン | カクテルに用いられるジンの中でも最も多いのがこのドライ・ジンです。 雑味が少なくクリアで辛口なのが特徴のジンです。 |
オールドトム・ジン | ドライ・ジンに1~2%ほどの糖分を加えた甘口のジンです。 ほのかに感じる甘みが特徴です。 |
ジェネヴァ | オランダタイプのジン。オランダ・ジンとも呼ばれます。 濃厚な味わいが特徴のジンです。 その濃厚さ故にカクテルにはあまり使われず、ストレートでよく飲まれます。 |
シュタインヘーガー | ドイツタイプのジン。 生のジュニパーベリーを使用しているため豊かな香りが特徴的なジンです。 |
フレーバード・ジン | 果実などを使用して香りづけしたジンです。 |
ジンの製造方法
- 原料を水と混ぜる。
これがジンの元となります。 - 糖化
デンプンを糖分に変える - 発酵
この時点での度数は6~7%です - 蒸留
単式蒸留と連続式蒸留の2種類が存在する - 香りづけ
個性的なボタニカルを加えて風味を付けて瓶詰めをして完成です。
ジンの製造はまず元となるグレーンスピリッツを作ります。主な材料は大麦、ライ麦、トウモロコシなどの穀物です。
その穀物を糖化・発酵させます。
その後蒸留をし、アルコール度数を95%まで高めます。
最後にボタニカルを使用し、香りをつけ完成です。
以上が簡単なジンの製造方法です。
香りづけはジンの個性を左右する重要な工程の一つです。
蒸留したグレーンスピリッツに数種のボタニカルを使用し、様々な方法で香り・風味を付けていきます。
香りづけの詳しい内容はまた別のページでご紹介しています。
こちらで香りづけについてご紹介しています!
まとめ
今回はジンとはどういうお酒なのかをご紹介しました。
ジンは主に3つの定義に分類される。
・蒸留ジン(Distilled Gin)
・ロンドンジン(London Gin)
さらにジンのタイプは5つに分けることができる。
・ジェネヴァ
・シュタインヘーガー
・オールドトムジン
・フレーバードジン
どのようなお酒かわかればお酒を選ぶ際にも役立ちますし、愛着も沸きますよね。
近年ジンはクラフトジンのこともあり、注目されてきていますので、ぜひお気に入りのジンを見つけてみてください。