ジンの個性を作るうえで欠かせない蒸留(香りづけ)
近年クラフトジンが流行してきていることもあり、他のジンと差をつけるのにも非常に重要な行程です。
今回は主な香りづけの方法をご紹介します。
そもそも香りづけって?
香りづけはジンの製造の過程の一つです。
ジンの個性を左右する重要な作業です。
香りづけの方法は様々ですが、ジンは元となるベーススピリッツにボタニカルを加えて香りをつけます。
ジンの定義一つとして、
ジュニパーベリーで香りを付ける
というものがありますが、ジュニパーベリーで香りづけをしていれば、その他どんなボタニカルを使って香りづけをしてもジンとなります。
その自由さから様々な個性的なジンが存在します。
ジンは洋酒のイメージが強いかと思いますが、ヒノキや煎茶などの日本のボタニカルを使用した「ジャパニーズクラフトジン」も存在します。
地域の特色を活かした面白いジンがたくさんありますので、ぜひお気に入りの一つを見つけてみてください。
糖化・発酵
香りづけの前に、軽く糖化と発酵についてご紹介します。
まずは大麦、ライ麦、トウモロコシなどの穀物を粉砕し糖化します。
※糖化とは穀物のでんぷん等を糖に変えることです。
糖化した後、酵母の力で発酵させます。
すると「醪(もろみ)」(または「ウォッシュ」)になります。
その後、もろみの蒸留を繰り返し、より純度の高いアルコールを作り出します。
もろみの状態でのアルコール度数はおよそ7%程度ですが、一回の蒸留で20%程度アルコール度数を上げることができます。
もろみを蒸留し、純度の高いアルコール(ベーススピリッツ)が完成したら、香りづけの行程に移ります。
主な2種類の香りづけの方法
香りづけの方法は様々ですが、2種類の代表的な香りづけの方法をご紹介します。
浸漬法とバスケット法です。
浸漬法
- 浸漬法は、元となるグレーンスピリッツを入れた蒸留器の中に直接ボタニカルを入れ、数日間漬け込むことにより、香りを抽出します。
その後、ボタニカルを漬け込んだ状態のまま2度目の蒸留をすることで香りの付けた蒸留液を作り出すことができます。 - 浸漬法は直接漬け込むことでボタニカルの香りをより深く引き出すことができます。
当初はこの方法が主流でしたが、直接ボタニカルを熱することで蒸留器に焦げ付き、焦げの香りがついてしまうリスクもあります。

浸漬法のメリット・デメリット
元となるグレーンスピリッツに直接ボタニカルを漬け込んでいるので、
材料の香味をより深くはっきりと抽出することが可能です。
蒸留をする際に蒸留器を強く熱することから、ボタニカルが底に焦げ付きやすく、
焦げた香りがついてしまう危険性がある。
また、使用後の清掃や手入れにも時間がかかる。
バスケット法
- バスケット法にはカーターヘッド・スチルという単式蒸留器をしようします。 バスケット法に使用する蒸留器は上部に銅製のかご(バスケット)がついています。
- 蒸気の通り道のバスケット部分にボタニカルを詰め込み、グレーンスピリッツを入れ二度目の蒸留します。
蒸気がバスケットを通過することで香りを付けます。
この蒸留法はヴェイパーインフュージョンとも呼ばれ、ボンベイサファイアなどがこの方法で香りづけを行っています。

バスケット法のメリット・デメリット
浸漬法よりもライトな仕上がりになるが、雑味がなく繊細な味わいを生み出す。
風味が重くなり過ぎないようにする。
繊細な味わいを出すが、
風味や香りなどが浸漬法よりもはっきりは出ない。
しっかりと香りを付けたい際には不向きである
どちらの方法を使っている方が良いなど、優劣は一切ございません。
大事なのは作り手の意思がどこにあるかです。
深い香りか、繊細な味わいを取るかなど理由は様々です。